らんちゅうの世界には、○○筋という言葉がある。
例えば、京都筋、宇野筋、関東筋、協会筋というようにである。
筋「すじ」という意味は何だろうか?
人によって使い方や意味合いが違うような感じがする。
尾島系らんちゅうでは、この「筋」の意味を以下のように使っている。
・らんちゅうの身体の部位において、親から子へ遺伝しやすい要素を「筋」ととらえている。
・例えば、「うろこの形」である。尾島系らんちゅうは、うろこが細かく、艶(つや)がある。
・この「うろこの形」を尾島系の「筋」ととらえている。
・すなわち、「筋」は一つではない。うろこ、頭(かしら)の深さ、尾肉の厚さ・柔らかさ、頭付きの骨格。
尾島系らんちゅうの「筋」の特徴をまとめてみると、以下のようになる。
・うろこは細かく、しっとりとして艶がある。
・頭(かしら)は深く(鰓深い)、長手の魚であっても、ほぼ3等身に近い。
・尾肉はやや薄く、柔らかく、泳ぐ時、尾を振りこんで優雅に泳ぐ。
・頭付き(骨格)は上向きであり、泳ぐ時に鼻先を上げているように見える。
そして、この特徴は、かなりの確率で、子に遺伝するようである。
「筋」の誤解
例えば、「頭の深さ」を例にとって考えてみよう。
らんちゅうは、中長手(ちゅうながて)のいわゆる「小判型」で三等身の魚が良しとされた時代がある。
らんちゅうには、団子(だんご)と言う形がある。横見で、縦横の長さが同じ、真ん丸な形である。
この形と小判型を混同している飼育者を見かけることがある。
団子は非常に頭が深く、どのらんちゅうでも。3等身以上である。
この形の魚は、大きくなるに連れて、バランスを崩し、泳げなくなってしまう。
「頭の深い筋」の魚を見分けるには、長手の魚を見れば一目瞭然である。
すなわち、3等身の魚であるからと言って、頭が深い筋の魚ではないのである。
その兄弟の長手の魚を見てはじめて、本筋であるかどうかが判断できる。
ふんたんは「筋」であるか?
私自身は、「筋にちかい」と感じている。
尾島系らんちゅうでも、匠の技は当歳魚でほとんどの魚にふんたんを出させてしまう。
しかし、良く魚を観察すると、ふんたんの出やすい魚とそうでない魚が見られる。
ふんたんは、らんちゅうなら、どの筋の魚であっても、技術によって、いかようにでも創ることが出来るであろう。
しかしながら、ふんたんの出やすい「筋」の魚があっても、おかしくないと思う。
尾島系らんちゅうを水深の深いプールで育てた経験では、団子型の泳ぎの下手な魚には、ふんたんが出たが、普通の中長手や長手の魚では、頭の堅く体型も流線型の「いも」体型に育ってしまった。もちろん、ふんたんは出るはずもない。
頭の形は「筋」であるか?
頭の形には、大きく3つに分類される。ときん頭、獅子頭(ししがしら)、龍頭(たつがしら)である。
このように頭の肉りゅうの付き方が、「筋」であるかということである。
私は、「筋」というには、ほど遠いように感じている。
技術によって、同じ筋の魚でも、獅子頭を創ったり、竜頭を創ったりできるからである。
育て方によって、尾島系らんちゅうでも、獅子頭になる。